国道8号浅野川橋下りのP5橋脚耐震補強工事に3Dプリンター製埋設型枠(3DCP型枠)を活用

急流の浅野川にそびえる一本の橋脚が、土木技術の未来をひそかに押し広げた。金沢河川国道事務所が手がけた国道8号浅野川橋の耐震補強工事である。頭上を高速道路と市道が交差し、足元には増水期を抱える河川堤防。厳しい高さ制限に加え、堤防を開削する施工は11月から5月までの「非出水期」に限定される。まさに時間と制約との知恵比べであった。

打開の切り札となったのは、施工者の明翫組が提案した3Dプリンター製の埋設型枠である。巨大な積層技術でつくられた型枠は現場で組み立てて脱型する必要がない。足場の設置や撤去の手間すら削ぎ落とし、従来の型枠工で15日要した現場施工日数をわずか8日に縮めた。率にして約47%の大幅縮減である。雪や雨に脅かされる冬季のギリギリの工程管理において、この一週間余の短縮がいかに大きな救いとなったかは想像に難くない。

一方で、費用面を見れば287万円、率にして約45%のコスト増となった。目先の数字だけを切り取れば躊躇する向きもあるだろう。しかし、これを単なる「高コスト」と切って捨てるのは早計だ。昨今の建設現場を覆う深刻な人手不足、いわゆる担い手不足は待ったなしの課題である。人手をかけずに品質と安全を担保し、川の危険期を避けて速やかに工事を終える価値を、どう算出するべきか。

金沢河川国道事務所が示した「総合的に見て合理的な選択」という見解には、これからのインフラ整備が追うべき真のコスト意識が宿る。目先の施工費だけで測れぬ現場の省力化、交通への配慮、そして何より人々の安心の確保。技術革新の価値を多角的な視点から正当に評価してこそ、担い手不足に揺らぐ日本の土木は明日への活路を見出すことができる。浅野川の清流に立つ堅固な橋脚は、そう力強く訴えているように見える。

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