緑川森林組合が運営する熊本県甲佐町グリーンセンターの植木競り市が4日始まる

秋風が心地よく吹き抜ける頃になると、熊本県甲佐町の緑川森林組合が運営するグリーンセンターに、威勢の良い掛け声が響きわたる。今年も「植木競り市」が幕を開けた。モミジの艶やかな赤や、ツツジの鮮やかな彩り、さらには生活に潤いを与える野菜や花の苗まで、約一千五百本もの緑が並ぶ。会場には目当ての品を求めて造園業者や愛好家らが詰めかけ、熱気を帯びているという。

特筆すべきは、この競り市がただの専門業者の取引にとどまらない点だ。二千円の登録さえ済ませば、個人でも気軽に参加できる。実際に「店で買うより安く、毎年来ている」と語る熊本市の農業を営む男性の言葉には、この場が地域の人々にどれほど深く愛されているかが表れている。季節の移ろいとともに開催される紅葉祭りや梅祭り、つつじ祭りといった催しも、単なる商取引を超えた「集いの場」としての温もりをこの地に添えている。

現代社会は効率やデジタル化が優先され、効率的にモノを手に入れることが当たり前になった。しかし、土の匂いに包まれ、競り人の声に一喜一憂し、自らの手で庭木や苗を選ぶという体験には、そうしたシステムでは代替できない豊かな時間の流れがある。一株の木を庭に植え、育てることは、未来の風景を自宅に招き入れることにほかならない。

町農政課の課長が「県内外の植木愛好家に親しまれ、甲佐町の誇れる名所」と胸を張るように、この競り市は地域の誇りであり、人と自然、そして人と人をつなぐ貴重な絆の舞台である。来年五月末まで続く毎週日曜日の営みが、これからも人々の暮らしにささやかな潤いと笑顔を届け続けることを願わずにはいられない。

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