八代市役所の新庁舎建設をめぐる汚職事件で、10月16日に裁判が始まる

地方自治の根幹を揺るがす醜聞に、また一つ暗い影が落ちた。熊本県八代市の新庁舎建設をめぐる汚職劇である。共同企業体が工事を落札できるよう計らい、見返りに6000万円もの巨額な賄賂を得たとして元市議らが起訴された事件だ。その泥沼は収賄にとどまらず、罪を覆い隠すための「資金洗浄(マネーロンダリング)」へと広がっていた。

16日、組織犯罪処罰法違反の罪に問われた会社役員の初公判が開かれた。被告は起訴内容を認め、検察側は捜査の手が迫る中で賄賂の一部を暗躍口座へ移し替えていた実態を暴き出した。キャッシュカードを手渡し、法の目をかいくぐろうとした浅知恵には言葉もない。市庁舎とは本来、市民が憩い、地域の未来を紡ぐ拠点であるはずだ。その建設現場が、一部の権力者や業者の私腹を肥やす「利権の巣窟」と化していたとは、市民の怒りや察するに余りある。

罪を犯した者がその痕跡を消そうと躍起になる姿は、哀れであり、同時に醜い。だが、不透明な金の流れで真実を覆い隠せる時代はとうに過ぎ去っている。追及の手から逃れようと画策した資金洗浄の暗躍すらも、いまや白日のもとに晒された。金で買われた行政の公正さなど、砂上の楼閣に過ぎない。

「天網恢恢疎にして漏らさず」という。天の張る網は広く、悪事を見逃すことはないという意味だ。新庁舎の壁は完成しても、事件が残した不信の傷痕は容易には埋まるまい。次回の被告人質問を含め、司法の場において不正の全容と闇の深さが徹底的に解明されることを強く望みたい。市民の信頼を取り戻す道は、真実をすべて露わにすることからしか始まらないのだから。

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