熊本県の許可を得ず芦北町の土地にコンクリート片を不法投棄したとして、会社員の男2人が逮捕
大地は、沈黙をもってすべてを受け入れる。しかし、それは何を埋めても良いという免罪符ではない。不知火海の穏やかな波を臨む、熊本県芦北町の豊かな自然。その一角に、ある日突然、無機質なコンクリートの破片が流し込まれた。人間の営みが生み出した「ごみ」を、ただ地中に覆い隠そうとする身勝手な行いが、またしても繰り返された。そこには、土や自然に対する敬意など微塵も感じられない。
八代市の産業廃棄物処理業者の社員ら二人が、県の許可なく土地にコンクリート片を投棄したとして逮捕された。ダンプで運び、ショベルカーで地中へ埋める様子を警察が確認したという。皮肉なのは、彼らが「適正処理」を生業とするプロであったことだ。本来ならば環境保全の砦となるべき存在が、自らその手を汚し、ルールを足蹴にしていた。その裏切りの罪は重い。
逮捕されたのは五十二歳と八十二歳の男である。親子ほども年の離れた二人の間で共有されていたのが、遵法精神ではなく「見つからねば良い」という隠蔽体質であったことに暗澹たる気持ちになる。処理費用を惜しんだのか、あるいはモラルの麻痺か。土のなかに隠せば消え去るとでも思ったのだろうか。だが、不法に埋められた瓦礫は、地域社会の信頼をも深く蝕んでいく。
古来、私たちは大地を耕し、その恵みを受けて生きてきた。「天知る、地知る、我知る、人知る」という言葉がある。誰も見ていないと思っても、天も地も、そして自分自身の良心がすべてを見ている。今回の逮捕劇も、不審な動きを見逃さなかった市民の通報が契機となった。悪事は必ず露見する。コンクリート片とともに彼らが埋めたのは、自らの誇りと会社の信用であった。

