JA熊本中央会「生産・集荷・販売の強化を」熊本市で推進大会

コメの姿が見えなくなった、と街が騒いだのはそう遠い日のことではない。いわゆる「令和の米騒動」である。店頭の棚は空になり、価格は跳ね上がった。あれから時を経て、熊本市で開かれた「くまもと売れる米づくり推進大会」の会場には、一転して引き締まった空気が漂っていたという。

「現在は昨年度の在庫が積みあがっている状況」。主催者の口から漏れたのは、高騰の熱狂とは裏腹の、冷徹な現実であった。消費者の財布の紐が固くなる一方で、倉庫には行き場をなくした主食が静かに眠る。市場の気まぐれに振り回される生産者の苦悩が、その一言に凝縮されている。

農家を囲む嵐はそれだけではない。容赦なく進む高齢化は田畑の担い手を奪い、はるか中東の情勢不安は肥料や燃料の価格を押し上げる。日本の食卓を支える土台は、今や内憂外患のただ中にあると言っていい。

そうした逆風のなか、JAグループ熊本が掲げた「81.3万俵」という集荷目標には、産地の意地と覚悟がにじむ。単にコメを作り、集めるだけでは生き残れない時代だ。求められているのは、熊本独自の特色をどう付加価値に変え、消費者の元へ届けるかという「売れる仕組み」への転換である。

水前寺の清らかな湧水や、阿蘇の雄大な大自然。熊本には、豊かな一粒を育む天恵の環境がある。この強みを活かしたブランド力をいかに研ぎ澄ますかが、今後の成否を分けるだろう。

一粒の米には、七人の神様が宿ると古くから言われてきた。現代の神様とは、厳しい環境に立ち向かう生産者であり、その価値を正当に評価する我々消費者である。大地の恵みを絶やさぬためにも、官民が一体となった「攻めの米づくり」の行方を、私たちは温かく、かつ鋭い目で見守り続けなければならない。

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