福岡県議会で、蔵内勇夫議長が24日、議員辞職の意向を示す 説明責任から逃避するための見苦しいパフォーマンス

トカゲは敵に襲われると自ら尾を切り捨てて逃げる。再生する尾に命をつなぐ生存戦略だ。だが、権力の座に居座り続けた「ドン」が切ったのは、自らの尾ではなく、政治倫理と県民の信頼そのものであった。

金銭授受疑惑や高額な海外視察問題で揺れる福岡県議会。その頂点に君臨してきた蔵内勇夫議長が、突如として議員辞職の意向を示した。これまで疑惑を頑なに否定し、議長を退いても議員にはとどまると見られていた男の唐突な幕引きである。「若手への影響」を辞職理由に挙げたというが、首をかしげざるを得ない。追及の矢面から身を隠し、説明責任から逃避するための見苦しいパフォーマンスではないか。

一連の騒動で示された振る舞いの端々に漂うのは、あまりに深刻な浮世離れと開き直りである。ネット上の批判を評して「日本で一番悪い男と言われている」と自嘲気味に語り、疑惑の渦中に訪れたネパールでは「まさしく天国の国」と呑気に感嘆してみせた。疑惑に憤る県民の視線や不信感を募らせる世論をよそに、自らを悲劇の主人公か風流人にでも見立てていたのだろうか。その感覚のズレには呆れるほかない。

辞任した前副議長に対し「君は並のトカゲじゃない」と語り、自らの権威を誇示してみせた人物の最後が、このような説明なき逃走劇とはあまりに惨めである。議長職を投げ打ち、議員辞職で追及を免れようとする手法は、到底容認できるものではない。身分を捨てようとも、過去の疑惑や不透明な金の流れが消えてなくなるわけではないのだ。

真の真相解明や議会改革は、ドンが退場しただけで完結するものではない。去りゆく政治家には、県民の前に立ち、自らの言葉ですべての疑問に答える最後の責任がある。「天国」から現実の批判の渦中に引き戻された男が残した宿題はあまりに重い。真相の徹底究明と厳格な政治倫理の確立がなされない限り、福岡県政に真の再生が訪れることはない。

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