豪雨でも運行できた千葉都市モノレール 「懸垂式」の強み発揮

降りしきる激しい雨が、いつもの日常を容赦なく奪い去っていく。千葉県内を襲った豪雨は、瞬く間に鉄路を分断し、帰宅の足を奪われた人々で駅前は混雑を極めた。地上を走る交通網が金縛りに遭ったかのように麻痺するなか、暗闇の頭上を力強く駆け抜ける一筋の光があった。千葉都市モノレールである。

レールの下に車体を吊り下げて走る「懸垂式」と呼ばれるこの構造は、大雨や大雪にも強いタフさを備えている。道路が冠水しようとも、はるか地上数メートルから二十メートル近くの上空を往く車輪が足を取られることはない。だが、今回の混乱を乗り切ったのは、単に構造上の強みだけではあるまい。そこには、立ち往生する人々に寄り添おうとした「人の矜持」があった。

他の路線が運休し、押し寄せた乗客で改札口があふれかえる中、同社は早朝のラッシュ並みに臨時列車を急遽増発した。さらに、市役所に避難所が開設されると知るや、終電を延ばして臨時便の運行を決定。日付が変わった深夜、避難所に近い駅へと向かう車内には、安堵の息をつく約70人の姿があったという。予期せぬ孤立の恐怖に直面していた人々にとって、その一便がどれほど心強かったか想像に難くない。

「安全・安定輸送が会社の根幹」。同社担当者の言葉が重く響く。どんなに優れた技術や強靭なインフラがあろうとも、それを動かす人間の臨機応変な判断と熱意が伴わなければ、真に誇れる「地域の足」にはなり得ない。冠水に沈む街を見下ろしつつ走ったモノレールは、災害に強い構造を示すとともに、困窮する人々を救おうとする温かい意思をも運んでいたのだ。

SNSには「命を救われた」と感謝の声があふれたという。悪天候の夜、見上げた空にぶら下がり、力強く走るその姿は、混乱した街を照らすささやかで、けれど確かな希望の灯火そのものであった。

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