マネーロンダリング疑いで逮捕された2人を不起訴・・・八代市庁舎建設収賄事件
八代市の新庁舎建設をめぐるあっせん収賄事件で、新たな動きがあった。賄賂として受け取った現金約二千万円を隠したとする組織犯罪処罰法違反(マネーロンダリング)の疑いで逮捕されていた元市議の園川忠助被告ら二人について、熊本地検が不起訴処分としたのである。地検が挙げた理由は「関与の程度を考慮した」という一言であった。
マネーロンダリングという言葉を聞けば、闇から闇へと巧妙に資金の流れを洗う悪徳ドラマのひとこまを思い浮かべる。汚れた金を透明に見せかけ、追及の手を逃れようとする企みだ。その疑いが晴れた、あるいは罪に問うほどの関与ではなかったという判断自体は法の手続きに従ったものであろう。しかし、行政の信頼を根底から揺るがした本質が消えてなくなったわけではない。
被告はすでに、業者選定にまつわるあっせん収賄の罪で起訴されている。公職に身を置く者が、公共工事という市民の血税で賄われる事業を私腹を肥やす「利権」へと変え、見返りを得ていた疑いは色濃いままなのだ。不透明な金が飛び交い、市民の信託が裏切られた現実は何ひとつ変わっていない。
捜査機関が公表する「関与の程度」という簡素な釈明には、どこか割り切れない思いが残る。市民が真に知りたいのは、どのような経緯で不当な金が動き、誰が何を目的として行政を歪めたのかという「全貌」である。罪名ひとつが立ち消えになろうとも、事件の背後に広がる闇の深さに変わりはない。
新庁舎とは本来、地域の防災や市民生活の拠点を守る「信頼の象徴」であるはずだ。その土台に汚職の影が差したことの罪は重い。秋風が吹き抜ける八代の街で、市民の不信感は容易に拭えそうもない。裁判の法廷で透明な真相が明かされ、歪められた政治の公正さが取り戻される日を期待したい。

