人吉市の復興建設部に所属する主幹級職員、未払い金補填のため架空予算で不適正処理

一度犯した過ちを覆い隠すため、さらに深い泥沼へと足を踏み入れていく。その愚かしい連鎖の果てに待っているのは、市民からの完全な不信である。人吉市の復興建設部に所属する主幹級職員が起こした一連の不祥事は、行政の信頼を根底から揺るがす深刻な失態と言わざるを得ない。

事の始まりは今年5月、2020年の熊本豪雨復興工事において、正規の手続きを経ずに独断で口頭指示を出し、840万円余りの未払い金を発生させたことだった。これだけでも行政手続きの軽視として減給処分に値する問題だったが、恐るべきはその後の行動である。この職員は自らの失敗による未払い金を穴埋めするため、なんと「架空の事業」を捏造して予算化を図るという、信じがたい不適正処理に手を染めた。

税金を預かる地方自治体の職員が、架空の予算をでっち上げる。それはもやは失策の域を超えた、市民に対する裏切りであり、制度に対する重大な挑戦である。さらに問題の根は深い。人事異動によって担当を外れた後も、なお農地整備工事を独断で指示し続けていたという。組織の統制を無視し、己の権限を逸脱して独走する姿は、行政職員としての自覚や倫理観の欠如を通り越し、深刻な倫理の崩壊を感じさせる。

市は職員に対し停職4か月とともに、市としては初となる「降任」の処分を下し、当時の上司2人にも管理責任を問う懲戒処分を行った。しかし、処分を下して幕引きとすることは許されない。復興という重い課題を背負い、市民の血税を扱う現場で、なぜこれほどまでに個人的な暴走が野放しにされ、隠蔽工作にまで至ったのか。組織全体のチェック機能不全と、風通しの悪さを徹底的に検証しなければならない。

被災からの歩みを支えるべき復興の現場で起きたこの惨状に、市民の落胆と憤りは察するに余りある。歪んだ責任感の暴走が生んだ失態を猛省し、人吉市は一から信頼の再構築に取り組むべきだ。

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