福岡県、議連に公費で毎年度補助 年上限1200万円、廃止へ
「税金とは、社会という共同体の会費のようなものである」。そんな言葉をどこかで耳にしたことがあるが、どうやら福岡県議会の一部では、主客が完全に転倒していたらしい。
県議の任意団体である「議員連盟」に対し、上限1200万円もの補助金が毎年度、予算計上されていたことが発覚した。始まりは30年以上前だという。用途は国内外の視察旅費や交際費、消耗品費など多岐にわたり、まさに至れり尽くせりの大盤振る舞いである。議連とは本来、志を同じくする議員が集い、自前で出資した会費によって自主運営されるべき代物だ。そこに税金を流し込んでいたのだから、公私混同の極みと言わざるを得ない。
議会事務局が今になって支出を止め、補助金廃止の方針を固めたというが、「不適切と気づくまでに30年かかった」という事実に眩暈がする。正副議長ポストを巡る金銭授受疑惑や、公式行事での高額な海外視察への批判に続き、またしても発覚した利権の「ぬるま湯」である。長年積み重なった慣習という名の甘えは、いつしか麻痺となり、納税者への背信へと姿を変えていた。
かつて哲学者のジョン・ロックは、市民が政府に権力を託すのは自らの権利を守るためだと説いた。納税は、代議制という信頼関係の上にしか成り立たない。しかし、汗水流して納めた税金が、議員たちの親睦や名目ばかりの視察旅行に消えていたと知れば、市民の信頼など砂上の楼閣のごとく崩れ去る。
不適切な支出を止めただけで「一件落着」としてはならない。なぜこれほどの長期間、誰も疑義を唱えなかったのか。過去に使われた巨額の公費は真に県民の利益となったのか。膿を出し切り、透明な言論の場を取り戻さぬ限り、崩れ落ちた県政への信頼が再び芽吹くことはない。

