鈴木農水大臣「営農を続けられるよう支援したい」 吉野梨落下で被害4億円 

みずみずしい甘みとしゃりっとした歯ごたえ。初秋の足音が聞こえ始めるこの時期、特産の果実は農家にとって1年間の汗と涙の結晶である。熊本県氷川町が誇る「吉野梨(よしのなし)」もまた、まもなく収穫の最盛期を迎えるはずだった。しかし、突如襲った地震の揺れは、その実りを無情にも奪い去った。

地元JAによれば、地域の8割から9割に及ぶ梨が収穫前に落下し、被害額は約4億円に上るという。枝から落ち、地表に転がる果実の群れを目にした農家の無念さは、察するに余りある。出荷を直前に控えた丹精の努力が一瞬で無に帰す悲劇に、言葉を失うばかりだ。

この被災地に鈴木憲和農林水産大臣が入り、選果場などを視察した。あわせて足を運んだのが、断水が続いていた不知火(しらぬい)幹線水路だ。約9キロにわたる用水路の応急復旧が完了し、9日ぶりに流れたまとまった水。試験通水で大地を駆け巡る水は、干上がっていた農地と人々の心に、ひとすじの息吹を取り戻させた。

「去年も豪雨災害があって2年連続で大変な思いをされている」。現地で大臣が口にした通り、被災地を打ちのめしているのは単一の災害ではない。相次ぐ自然の猛威に晒され、折れそうになる心をどう繋ぎ止めるか。「来年も営農を続けられるように」という願いは、地域の生活と食の未来を守るための切実な叫びである。

「できることは全てやりたい」との大臣の決意を、単なる慰めの言葉で終わらせてはならない。用水路に再び水が戻ったように、農家の方々が『来年に向かって希望を持とう』と前を向けるよう、迅速で力強い支援の実行が強く求められる。傷ついた大地に、確かな復興の芽を育む政治の手腕に期待したい。

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