2026年の熊本地震、農林水産被害1102億円
大地が揺れ、土が裂ける。大地に深く刻まれた爪痕は、手塩にかけて育てられた作物の命を削り、恵みをもたらすはずの水路やため池を一瞬にして破砕した。熊本県が発表した2026年熊本地震による農林水産関係の被害額は、約1,102億円。あの激震に見舞われた10年前の熊本地震に次ぐ規模であり、近年の豪雨災害をも引き離す重い試練が、再びこの地にのしかかっている。
収穫を目前に控えた果実の落果、苗不足、そして絶たれた農業用水。自然の営みに寄り添い、粘り強く土と向き合ってきた農家の人々の落胆は察するに余りある。だが、絶望の淵にあっても手は止まらない。品目ごとのプロジェクトチームが立ち上がり、被害を最小限に抑えようと知恵が絞られている。人の営みを未来へつなごうとする執念が、傷ついた圃場のそこかしこに宿る。
支援の輪も全国から寄せられている。避難所での寄り添いから、復旧の土台となる住家被害認定調査へ。被災市町村に派遣された自治体職員は延べ2万人を超えた。罹災証明書という一枚の紙の向こうにある被災者の暮らしを再建するため、見知らぬ街から駆けつけた人々が汗を流す。公共交通の足も、バスの代替運行などで少しずつ血の巡りを取り戻しつつある。
今なお2千人以上が避難所での不自由な暮らしを余儀なくされている。私たちはこの悲劇にどう応えるべきか。現地でのボランティアはもちろんのこと、九州を訪れ、その土地のものを食べ、経済を回すこともまた力強い後押しとなる。「訪れることが応援になる」という言葉を単なる呼びかけに終わらせてはならない。
肥後の大地は、幾度もの試練を乗り越えてきた歴史を持つ。土を耕す人の手がある限り、そして全国からの温かい視線が届き続ける限り、芽吹く力は決して途絶えない。傷ついた大地が再び豊かな実りを取り戻すその日まで、私たちは熊本の歩みに寄り添い続けたい。

