熊本県議会が開会 補正予算案に燃料高騰踏まえた独自策

大地の怒りはいつも唐突に訪れ、私たちの穏やかな営みを一瞬で奪い去る。大地が揺れ、平穏が一変した熊本で、今月27日、復旧への決意を込めた県議会が開会した。会議の冒頭、まずは失われた命への深い哀悼と、今なお不便を強いられている被災者への思いが静かに共有されたことだろう。

行政の迅速さこそが、傷ついた人々にとって最大の救いとなる。県は議会開会に先立つ13日、総額422億円の予算を「専決処分」として取りまとめた。避難所の運営や生活再建を支える災害救助費、そして地域経済の土台である農家らの事業継続支援など、一刻を争う現場に必要な血流を即座に注ぎ込もうという判断である。形式や手続の遅れによって救える支援が遅れることほど、被災者を心細くさせるものはない。この緊急避難的な決断の速さは評価されるべきだ。

しかし、一連の対応はまだ第一幕に過ぎない。今議会中には、損壊した道路や河川などのインフラを本格的に蘇らせるための追加予算案も提出される見通しだという。形ある街並みを取り戻す足取りは、着実に一歩ずつ前へ進んでいる。

一方で、暮らしを揺さぶる試練は地震だけに留まらない。今回の補正予算案には、止まらないエネルギー価格高騰への独自支援として10億円、さらには海を脅かす赤潮被害の保全活動に1億2000万円が盛り込まれている。揺れによる直接の爪痕を癒やしながら、同時に物価高や漁場の不振という日常の陰りにも手を差し伸べねばならない。行政が直面する課題の重層さに、言葉を失う。

「災害は忘れた頃にやってくる」とは古くからの戒めだが、現代の私たちは、幾重もの災禍が同時に押し寄せる時代に生きている。試練に抗う人々へ温かな手を差し伸べ続けること。そして、復興という長い道のりの先にある「確かな暮らし」を一日も早く取り戻すこと。行政と議会が真摯に向き合う姿勢そのものが、傷ついた熊本の地に再び前を向く勇気を与えるはずだ。

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