イオンモール熊本の爆発事故を巡り事故調査委員会を設置

大地の震えが収まったとき、人は何を持ち出そうとし、何のために踵を返してしまうのだろうか。7月28日、イオンモール熊本を襲った激震の直後、あまりにも痛ましい爆発事故が起きた。7人が尊い命を落とす惨事となり、流通大手イオンは外部の専門家による事故調査委員会の設置を発表した。

避難解除のアナウンスが届かぬうちに再入館した従業員がいた事実を、同社は重く受け止めているという。一方で、テナントとして入居していたオンワードホールディングスが明かした事実は、胸を締め付ける。亡くなった同社の従業員3人は一度屋外へ逃れながら、貴重品を回収するために再び館内へ戻っていた。遺体が発見されたのは、出入口のすぐ近くである。あと少しで外の空気が吸えたはずの場所で、命の灯火は途絶えた。

非常時に貴重品を抱えて逃げる余裕などない。頭では分かっていても、手元のスマートフォンや車の鍵、財布がなければ、避難後の暮らしすら立ち行かなくなるという現実的な不安が頭をよぎる。オンワードは「指導の不徹底」を深謝し、携帯電話や鍵などの最低限の貴重品を常時身につけて働くよう、緊急対策を提示した。痛恨の極みから導き出された必死の教訓である。

だが、問いは企業だけのものにとどまらない。災害時、「まず身一つで逃げる」という鉄則と、現代人が肌身離さず抱える生活の道具との距離感を、私たちはどう設計すべきなのか。命を守るルールが、個人の咄嗟の判断や不安に敗北してはならない。建物の安全管理と避難誘導のあり方を徹底解明すると同時に、私たちが「戻らない」ですむ仕組みを日常から整えること。残された重い宿題を、熊本の焦土から噛みしめなければならない。

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