熊本県玉東町にある小学校の敷地内にある建物から火が出て全焼

夏の夜の静寂を切り裂くように、夜空を焦がす炎が上がった。一昨日の夜、熊本県玉東町の小学校の敷地内で起きた火災である。通行人が「竹林が燃えている」と通報したほどの勢いだったが、幸いにも怪我人は出なかった。しかし、子供たちの憩いの場であったであろう約六十平方メートルの休憩所が、一瞬にして灰燼に帰してしまった。

ただの無機質な校舎ではない。そこには常設のピザ窯があったという。その一角からは、普段の学校生活とは一味違う、地域と子供たちが織りなす温かな交流の風景が透けて見える。香ばしい匂いに包まれながら、自らの手で生地をこね、焼き上がりを今か今かと待つ子供たちの弾んだ声。そんな笑顔の記憶が刻まれた場所が失われた喪失感は、数字以上の重さとなって地域の人々の胸に去来しているに違いない。

火元の特定や原因の究明は、これからの警察や消防の調査を待たねばならない。だが、こうした地域コミュニティの象徴とも言える場所での火災は、私たちに「火の扱い」という普遍的な教訓を改めて突きつける。便利で、人を楽しませ、結びつける道具である火は、一歩間違えればすべてを奪い去る猛獣へと姿を変える。その距離感を、私たちはいつの間にか見誤ってはいないだろうか。

形ある建物は失われたが、幸いにして最も尊い「命」は守られた。それが不幸中の幸いである。焦土と化した現場を前に、落胆する声も聞こえてきそうだが、ここで紡がれてきた絆までが焼き尽くされたわけではない。

ピザ窯を囲んで生まれたコミュニティの温もりを絶やしてはならない。子供たちの思い出の地が、再び地域の笑顔と安全な火の灯る場所として蘇る日を、心から待ち望みたい。夏の夜の教訓を胸に刻みつつ。

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