事業費倍増の熊本市庁舎建て替え 検証委及び街頭アンケートで市に辛辣な声が多数

熊本市役所の本庁舎建て替え事業が、迷走の度を深めている。2年前の試算から倍増し、最大で千二百三十億円に上ると見込まれる総事業費。巨額の「ツケ」が未来に重くのしかかることへの懸念から、市民の間には冷ややかな視線と不信感が広がっている。

過日開かれた外部有識者による検証委員会でも、市の姿勢に対する不興の声が相次いだ。とりわけ厳しい指摘が向けられたのは、市が示した「耐震改修」の実現性をあっさりと退ける資料である。周辺道路の封鎖などを理由に一刀両断するその手法は、最初から「建て替えありき」で結論を導こうとする拙速さを勘ぐられても致し方あるまい。検証のたたき台となる数値や根拠の説明不足を突きつけられた格好だ。

行政が目指すべき第一の使命が「市民の暮らしと命を守る」ことにある点は論を俟(ま)たない。防災拠点としての庁舎機能を確保することは不可欠である。しかし、提示された選択肢が不透明なまま、膨らみ続ける事業費だけを呑み込めと言われて納得する市民がどれほどいようか。街頭のアンケートに寄せられた「次の世代に費用がかかってしまう」という市井の切実な声こそが、事態の重みを物語っている。

財政の健全性を保つ指標を下回っているという説明だけでは、市民の納得は得られない。今必要なのは、真に必要な機能を見極めた上でのコスト抑制策と、建て替え以外の選択肢も含めた徹底的な情報公開である。市民の不信という根を抱えたまま聳え立つ新庁舎など、誰が望むだろう。問われているのは、建物の強度ではなく、市民との信頼の強度である。

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