熊本地震の直後にビアパーティー開催 自民党福岡県議団・松尾会長に「辞職」求める声
大地が激しく揺れ、悲鳴が響く。隣県で最大震度7の地震が発生し、懸命の救救活動が始まったそのとき、リーダーの品格が問われる宴が開かれていた。非常事態に直面したとき、人の真価が露わになると言われるが、あまりに情けないニュースである。
福岡県議会で自民党県議団のトップを務める人物が、北九州市内で大規模な政治資金パーティーを強行した。およそ600人を集めた「ビアパーティー」である。福岡でも強い揺れを観測した地震の発災から、わずか1時間半後の開催だった。議長ポストをめぐる金銭授受疑惑について弁明するためだったというが、会場ではお笑い芸人の余興も催され、食べ飲み放題の宴が繰り広げられた。
「やってよかった」「自分自身の覚悟ができた」。本人はそう振り返ったという。だが、隣県で家屋が倒壊し、人びとが恐怖に震えているさなかにビールを酌み交わす感覚は、あまりに浮世離れしている。自身への疑惑の「説明」や資金集めは、被災地の苦難や県民の安心・安全よりも優先されるべきものだったのか。知事から「不適切」と非難され、同僚議員から「政治家として恥ずかしい」と辞職を求められるのも自業自得というほかはない。
「今になったら不適切だなと思わんでもない」との反省の弁にも、危機感の薄さが透けて見える。有権者の命と暮らしを守るべき政治家が、非常時に真っ先に見せたのは保身と無神経さであった。グラスの泡とともに消えてなくなったのは、冷えたビールではなく、県民が寄せたはずの政治への信頼そのものである。

