7月の地震で被害を受けた、熊本市南区の商業施設「ゆめタウンはません」が営業を再開
大きな揺れが街を襲うたび、当たり前だった景色が一瞬にして奪われる。7月の地震で被害を受け、休業を余儀なくされていた熊本市南区の「ゆめタウンはません」が、一歩ずつ日常を取り戻しつつある。
今月11日、安全確認を経て1階や2階のフロア、フードコートなどが営業を再開した。待ちわびた人々が次々と店内へと吸い込まれていく。「ないといけない場所だと改めて思った」という買い出し客の声や、感極まる店長の姿に、この場所が単なる売り場を超えた地域生活の「拠点」であったことを痛感させられる。平日に5000人、休日に8000人が集う場所の灯が消えることの影は、思いのほか暗く重い。
10年前の熊本地震の際、全館再開までに約1年を要した記憶が重なる。今回は災禍の教訓が生かされたか、より短い期間での一部再開にこぎつけた。だが、喜びに沸く一角の影で、県内にはいまなお臨時休業を余儀なくされている大型施設が残る。爪痕の深さと復旧への道のりの差に、災いの根深さを思わずにいられない。
19日には全館での営業再開を迎えるという。支配人が語った「休業からの再開ではなく、復興という形で」という言葉が心に残る。元に戻すだけでは足りない。有事における避難マニュアルの見直しや貴重品の携帯手順など、新たな防災のあり方を模索する動きも始まっている。
商業施設の灯りは、街の体温そのものだ。レジを通る日用品や子ども服の袋の中に、確かな暮らしのぬくもりが戻ってくる。揺れに傷つきながらも立ち上がる拠点の姿に、この街のしなやかな強さをみている。

