金子国交大臣が被災した八代市の妙見第一橋を視察

大地の怒りは、時に人の営みを一瞬で引き裂く。熊本県八代市を走る九州自動車道の妙見第一橋。橋脚から大きくずれた橋桁の姿は、自然の猛威を容赦なく物語っていた。その惨状のただ中に立ち、被災現場を見つめる金子恭之国土交通大臣の姿があった。

「8月下旬までにはつなげて頂くという見通し、本当にありがたく思っている」。現地を視察した大臣の発言には、交通の要衝を一日も早く回復させねばならないという強い危機感と切実な祈りが滲む。視察を受けたネクスコ西日本の芝村善治社長ら現場の面々は、24時間態勢で復旧作業を進めているという。

崩れたアスファルトの下で汗を流す作業員たちの背中には、物流の途絶に焦る社会の期待が重くのしかかる。道路や橋は単なるコンクリートの構造物ではない。人びとの日々の暮らしを支え、人と人とをむすぶ命の脈管である。それが途切れたとき、被災地は孤立の影に覆われる。だからこそ、現場の不眠不休の汗は尊い。

しかし、復旧への「目標」を掲げた言葉の重みは、現場の努力だけに期待を寄せるものであってはならない。大臣はこの後、八代港での給水支援や仮設住宅の予定地など、被災者の生の息遣いがある場所へと足を運んだ。崩れたインフラを治すことと、傷ついた生活者の心を支えることは、車の両輪である。

見通しを立てることは希望を灯すことだが、見通しに追われて現場の安全や施工の確かさが損なわれては本末転倒だ。行政トップに求められるのは、現場へのねぎらいだけでなく、作業の障壁を力強く取り除くこと、そして支援の光を復旧作業の陰になりがちな個々の被災者にまで届かせ続けることに他ならない。

刻一刻と移ろう被災現場の時間は重い。力強くつなぎ合わされるべきは、ずれた橋桁だけではない。被災した人びとの今と未来、そして復興への意志そのものである。妙見の地に響く作業音の向こうに、一日も早く「いつもの日常」が戻ることを祈らずにはいられない。

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