政府の地震調査委「日奈久断層帯が活動」 2016年熊本地震の割れ残り指摘も

大地は私たちが寄せていた「静寂」という名の過信を、一瞬にして打ち砕く。熊本県宇城市や氷川町を襲った最大震度7の激震は、再びこの地に深い爪痕を残した。マグニチュード7・1。千丁の観測点が北東へ一気に87センチも動いたという数値は、地球という巨大な命のうごめきを恐ろしいほどの生々しさで突きつけてくる。

政府の地震調査委員会は、今回の揺れが日奈久断層帯の約30キロにわたる活動によるものだとの評価をまとめた。記憶に新しい2016年の熊本地震では、布田川断層帯と日奈久断層帯の高野―白旗区間の一部が揺れ動いた。今回揺れたのは、まさにその隣接する領域である。委員長が口にした「前回の割れ残りであった可能性」という言葉に、胸が締め付けられるような既視感を覚えるのは筆者だけではあるまい。

81キロに及ぶ日奈久断層帯には、今回の活動を経てもなお「まだ割れ残っている部分」が存在するという。大地の下で静まり返るその未崩壊の割れ目は、あたかも引き絞られたまま次の機会を窺う弓のようだ。「将来的に地震を引き起こす恐れがある」という指摘は、私たちに終わりのない緊張感を強いる。

だが、恐れるばかりでは足元をすくわれる。10年余りの間に連続して大地震に見舞われた熊本の地は、過酷な試練の中にある。地球の営みから見れば一瞬の出来事であっても、そこに生きる人間にとってはあまりに過酷な歳月の重なりだ。

地下に眠る「割れ残り」の存在を告げる科学の知見は、絶望の予告ではない。いつか訪れる次の試練に備えよという、地球からの不気味ながらも切実な警告なのだ。大地が与える恐怖に震えるだけでなく、その歪みを正しく見据え、揺るがぬ備えを築くこと。悲しみを繰り返さないための智慧こそが、いま私たちに問われている。

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